バイ同士の私たちの出会いのはなし②

 恋愛のHow to本や恋愛相談では、

セックスのタイミング(付き合う前にすることの是非、付き合ってからするまでの期間等)を非常に重要視しているようだけど、

イマイチその重要性がわからないわたしです。

それは経験上、セックスをしたほうが自分にとって事態が良い方向に転んだことのほうが多いから。

良くない方向に転ぶ(と思っている)人は、セックスを神聖化したり駆け引きに使ったり、セックスそのもの以上になにか思い入れをのっけすぎているからのように思う。

あとそのセックスに対する思い入れに振り回されて、相手の人間を見誤ったり(性別関係なくそういう人はいる)、

セックス云々の前にそもそも関わったらまずい人ってのの見極めができなくてそうゆう相手とやってしまう人。

さて バイ同士の私たちの出会いのはなし① の続きです。

慣れた手つきでタクシーを止めた初対面のクールなイケタチに連れられ、着いた彼女の家はちょっと懐かしい作りの綺麗なマンションでした。

玄関に入って靴脱いだらわたしより高かった彼女の身長はほぼ一緒になり、

ノースリーブの青いサテン地のシャツと黒いパンツを脱いだら細いくせに胸とおしりにいい感じの肉がついた身体が出てきた。

リビングにはダンベルやステッパーなど筋トレのアイテムが転がっていて、

何のものかはわからないけど賞状が何枚か飾られていた。

トイレバスは分かれていてキッチン、リビングは広く、その横に和室、そしてベットルーム。

その間取りは一人にはちょっと広すぎでした。

その家の印象は、

「同棲中の恋人が帰省している留守の家」

物の少ない整頓された部屋のそこかしこに、住人が一人ではない気配がある。

ペアのグラスとかマグカップとか。

さっきまでの会話の中でパートナーはいないと聞いていたのですごい違和感。

シャカシャカ動くもののやはり相当飲んで酔っ払っているようで、それらについて何か問いかけてもまともな答えは返ってこない。はぐらかしたり、的を得ない回答だったり、無視される。会話にならない。

あとから解るのだけど、これはたまたまこの時は酔っていたからとかではなかった。

出会いからしばらくの間わたしが手こずる彼女のよくある反応のひとつになります。

一緒にお風呂に入ったらもう深夜。

自分のベッドをわたしにあけ渡し、ソファで寝ると言い出したので「男の子みたいだなー」と少し笑ってしまった。

自称タチなだけある(笑)

女同士なんだから気にしないよーと広いベットに一緒に寝ることにしたのだが明らかに彼女はトーンダウンしている。

あとからわかることなのだけど、同性と一緒に寝ること自体が久しぶりだったらしい。(嘘でなければネ)

こういうシュチュエーションは明かりを消し、緊張の沈黙が破られたあとの展開がある。

ドラマや漫画でもよく見るやつ

そもそも初対面の人と同じベッドですぐ安眠できるほうが珍しい。ましてやセックスの可能性のある二人なら余計にだ。

しかし明日は月曜日。眠らないわけにはいかない。沈黙は早めに破って硬直した空気を弛緩させなくては。

19度で設定された冷房のガンガンにきく部屋で、隣に行儀よく並んで上を向いている彼女の腕に、私は顔をひっつけてキスをした。

セックスをしたほうが事態は良く転ぶ って自分の信条に基づいてそれを実行したのでした。( ̄▽ ̄)v

ところで私は、

母親業を中心に回っているリアル生活の中のほんの限られた自分の時間で出会っているネットからの出会いで、

本名や年齢、居住地などはぜったいに教えません。

もし相手が“なんかしらの面倒な人”だった場合、普段の生活に影響を及ぼされては困るから。

あくまで少ない自分だけの時間の中で完結させるもの。

恋人や友達など新たな関係を必要としていなかった。

自分の生活で、これ以上なにか新しいものに割ける時間や精神が無いと思っていたからです。

なので、  この、  美人でスタイルのいい、 でもちょっとおかしい女の人と、 

今ここでセックスしても面倒なことにはならない。させない。と踏んでいた。

いったんセックスでかきまぜて弛緩させた空気とゆるんだ身体で、なんとか数時間は朝までに眠れると思った。

ところがその後の彼女に、たぶんわたしはすごく興味を引かれてしまったのでした。

どちらもが今にも眠りに落ちそうな時、となりの彼女が何かを喋った。

隣に目をやるも喋った本人は目をつむり、何?と返しても反応はない。

(寝言かな?それにしてははっきり発声するな )

と、早く眠りたい私は意識のトーンを下げていこうとした。

が、

そのはっきりした声音の、でも何言ってるかはわからない寝言が私が寝入ろうとするたびに続く。

あまりにしっかりした声音なので寝言とは思えないのだけどよくよく見ても本人は起きてはいない。

何を言っているか意味はわからないけれど、どうやら何かを嫌がっている。

うなされてる……?

「いやだ」

「やめて」

「いや」

いろいろ言葉を発しているけれどこれぐらいの単語しか聞き取れない。けれど確かに何かにうなされていた。

大丈夫??とゆすり起こすと、

ぱち っと目をあけるのだが、何事もなかった様子で二言三言会話し、また

すぅ っと寝入るかと思えばまたうなされだす。

漫画や映画で見た、その絵に書いたようなうなされ方に、

この人やっぱヘンだよね!!??

という思いは強まっていく。

酒をあおりながらのはぐらかす会話、しれっと嘘をついて人を撒こうとしたかと思いきや帰らないで!とドラマチックにすがりつき、と思えば何事もなかったように大人っぽく会話して、あげく隣でわかりやすくうなされている……。

漫画オタクの私が読んだたくさんの漫画の中でくり返し見たような言動に、

(この人、なんかのキャラを愛しすぎてなりきっちゃってるイタい人なんかな!? どのキャラかはわからんけど…….)

と思っていた。

この印象はこのあと結果続いた彼女とのやりとりで、しばらく拭えないままでした。

それが、 ああそうではないんだ!これはこの人の真実の言動なんだ! と、わかるのはあと何ヶ月か先のこと。

そうこうしているうちに夜は明け、ほとんど寝れなかった私はいつのまにか無事眠れたらしい彼女の、

鼻筋の通った美しい寝顔と細い足と二の腕、胴体から腰にかけての完璧な曲線、仰向けになっても立体的な胸を羨ましすぎてしまいにはムカつきながら、まぶしい朝日の中で見ていた。

私たちは彼女の家から徒歩数分の駅で一緒に電車に乗り、おのおのの会社に出勤した。

スーツ姿の彼女は、昨日の奇行からは想像がつかないカッコいいキャリアウーマンでした。

一緒にいく予定のイベントを一週間後に控えたその顔合わせの半日で、私はこの変な人に

関わると面倒くさいのでは?

と思いながらも興味をもってしまったのでした。

おわり

変な会話をする女二人を乗せてしまった運転手さん↓夜の乗客ではこんなのよくある事だと思いたい。